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その指をさされた私はと言うと、いきなりのことに再びビクッと過剰に反応した。
(なっ、何だ!?
私、何か悪いことでもしたっけっ?!)
席についてからの自分の行動を思い出すが、ただ鷹夜に見とれていたことぐらいしか思いつかない。
未だに指差したままこちらを見ている馨に、特にやましいことがあるわけでもないのに嫌な汗が湧き出てきた。
ダラダラ―――
滝のような冷や汗は肌をツゥーっと滑り落ち、ポタッと真新しい机に落ちた。
それと同じタイミングで、馨の口が開く。
あぁ、一体自分はなにをしたのだろうか。
馨から発せられるであろう怒鳴り声を予想し、私は反射的に目を閉じた。
「さて、華野。
先程遅刻してきた大馬鹿野郎が後ろにいるだろ?
いや、女生徒だから大馬鹿野郎ではなく大馬鹿娘か。
まぁそんなことはどうでもいいが、華野はその馬鹿の隣の席だ。」
「えっと、わかりました。」
―――あれ?
いつもの馨の怒鳴り声が聞こえない。
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