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そんな生徒たちを馨はもう一度見渡すと、納得したように頷きながら手を叩いた。
「まぁそう堅くなるな。
今日から授業も始まることだし、皆それぞれ楽しみなさい。
それでは、朝のホームルームを終わる。」
馨は出席簿を持って鋭い視線を向ければ、級長らしき生徒が起立と軍隊並に歯切れのいい号令をかける。
そして礼という声に倣いお辞儀をすると、その後教室はたちまちおしゃべりという喧騒に包まれた。
そんな中私が1時間目の魔歴の準備をしていると、横から元気いっぱいの声が響く。
「おはよう、旭。
初めから遅刻だなんて、やるわね。」
「あぁ、おはよう美智子。
これでも目覚まし時計5つも用意してたんだよ?」
私は机の上に座って足をぷらぷらさせている少女―――美智子に目を向け、げんなりした表情を見せた。
「まぁあんたのことだから、どうせ全部破壊したんでしょうねぇ……」
美智子の呆れたような声に、私は何も言い返せない。
どうしてか―――それは美智子が言ったことが、まさしく図星だったからだ。
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