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そう、私は見てしまったのだ。
目が覚めたときの、あの惨状を。
床には至る所に目覚まし時計であったであろう残骸が散らばり、もはや原型を留めてはいなかったのだ。
「おぉ~い、旭~?」
「はっ……」
朝の自分の部屋の惨状を思い鬱になっていた私の目の前を、美智子は覚醒させるように手を振った。
「ちょっとぉ~、寝ぼけてんの?
お願いだから、別世界にトリップしないでよ?」
「うん、ごめん。」
美智子の呆れ笑いに私も笑い返し、ばつの悪そうに頭をかいた。
まぁ朝っぱらから馨からの黒板消し攻撃に加え、鷹夜という編入生サプライズ。
そしてこの元気娘・美智子によって、私の眠気は完全に吹き飛んでいたけど。
そんなことに内心苦笑を零しながら、私はまじまじと美智子を見つめる。
ボーイッシュなウルフヘアーに赤い髪。
チワワみたいとよく言われる大きな瞳はくりくりしていて、彼女を一際幼く見せている。
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