魔歴

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「授業を始めますから、皆さん席についてください。」 チャイムと同時に響いた鈴やかな声に、生徒たちはいそいそと席に向かう。 そして教科書を机の上に出し、一斉に教壇に立つ先生を見た。 もちろんここまでは普通だが、その瞬間全員が固まることになる。 黒いワンピースに、白いフリルがふんだんにあしらわれているエプロン。 そして黒いタイツに黒いローファー。 緩くあんだおさげに、今にもずり落ちてしまいそうな眼鏡。 誰もがその教師とは思えない服装に唖然としている中、俺だけがぼそりと呟いた。 「何で、皐月さんがいるのですか……」 唸る俺を尻目に、当の本人はノリノリだ。 ちなみに、この呟きを聞いてくれた人はいない。 「皆さん、はじめまして。 魔歴を担当する小林皐月(こばやしさつき)といいます。」 にこりと笑う、メイド服の先生。 何とも理解不能である。 しかしこのままでは授業が始まらないので皆何とか奮起し、どうにかしてショック状態から回復することができた。 魔歴という何とも眠くなりそうな授業だが、これほどのインパクト。 おそるべし、皐月先生。 .
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