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ただ、今のところ綾崎さんに聞かれた、この河原に現れるらしい女の幽霊は、少なくとも私の霊視では見当たらない、もしかすると特定の時間にのみ出没するタイプかもしれない。
『そう言われても、やっぱり何か気になる』
そう言いながら、テントから数歩先に流れる川を見た。
『深夜には実際に幽霊が出る場所へ赴くのです、弱気になってはいけませんよ?』
『わ…分かってます』
と、私の言葉に頷く綾崎さん。
『さて、持ち物の点検を致しましょう』
私はリュックの中から、幾つかの品物を取り出した。
先ずは「使い捨てカメラ」と「ビデオ」これは心霊写真や、探索の記録をするのに絶対に欠かせない、そして「ライト」…いくら整備された公園とは言え、暗闇を歩くのは危険なので必須アイテムと言える、そして「アミュレット」が2つ…シンプルな銀製の五芒星の飾りが付いたペンダントタイプの護符で、私がきちんと聖別した魔術具です、後は供養用の「香灰」清め用の「粗塩」そして「クリスタル」などなど…さらに万一、幽霊じゃなく人間の暴漢に出会った時の用心に護身用の催涙スプレーを2つ用意しました。
余談ですが、武器に少しばかり詳しい友人の話だと、女性が持つ護身用としてはスタンガンに並んで、丁度よいものだそうです。
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