砕け散っても…

8/10
1661人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
『レイ!編集長が探してるわよ!記事の差し替えだって』 レイと同じ年頃の女の子だった。キリッとした目に高い鼻、とても綺麗な子だった 髪は流行りのアシンメトリーで明るい栗色だった 『夏美さん、差し替えだ。ごめん』とレイは手刀を切った 女の子は私を軽く睨むとレイの腕を引っ張った そして小声で『あのおばさんだれよ』と聞こえるようにいった レイは彼女の手を振り払い、『夏美さんを侮辱するな!』と言い捨てて店を出た 彼女は慌ててレイを追いかける おばさんか… そうだよね…と私は少し笑えてきた 12も下の子が私に本気になるわけない やっぱり遊びにしておかなきゃ カフェオーレが胃にしみた マスターにお金を払い店をでるころには雨もやんでいた また雨が降らないようにと私はまた小走りで駅へと向かった 喉の奥になにかつっかかってるようだ 改札口をでてマンションにつくと、皮肉にも日がさしてきた 買ってきたレインコートをハンガーにかけてクローゼットにしまった なんとなく悲しい色になってしまった
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!