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「…お止めなさい」
影から誰かが出て来た。
『離せっ離せっ!!』
青百合の腕を後ろに回し、その両腕を片手で掴んだ状態の彼女を盾に彼は現れた。
その姿は、細面で眼鏡、白衣を来た男。
「・・・・誰だ、あんた?」
黒薔薇は無表情で聞く。
「おやおや酷いなぁ、黒薔薇。私を見て、何も思わないのかい…?」
男は嗤った。
黒薔薇はその言葉に傾げる。
『・・・・・誰だ?』
黒百合が口を開く。
と、高い声の女も上から現れ、黒百合の隣に立った。
「フフッ・・・まだ名乗らないよ。私の事はいずれ分かるさ…私は、いつでもお前達を見ている」
男の口元が静かに上がる。
『何がいつでも見ているだ!変態が!!離せっ!』
「おや、青百合はこんな性格だったかな…?」
変態は余計だよ、と呟いた瞬間
『―!』
グイッと青百合の顎を掴み、自分の顔の目の前に顔を近付けた。
青百合は目を見開いて、男を見つめたまま固まる。
「ん~…まぁ性格は変わると言うしね」
うすら笑みを浮かべ、顔から離すと青百合を黒百合の方へ押し出す。
『―!!?』
青百合は躓く。咄嗟に黒百合が彼女を支えた。二人共、視線は男の方だった。
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