Rose3 廃墟の村と橙と一人の男

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27 「…お止めなさい」  影から誰かが出て来た。 『離せっ離せっ!!』  青百合の腕を後ろに回し、その両腕を片手で掴んだ状態の彼女を盾に彼は現れた。  その姿は、細面で眼鏡、白衣を来た男。 「・・・・誰だ、あんた?」  黒薔薇は無表情で聞く。 「おやおや酷いなぁ、黒薔薇。私を見て、何も思わないのかい…?」  男は嗤った。  黒薔薇はその言葉に傾げる。 『・・・・・誰だ?』  黒百合が口を開く。  と、高い声の女も上から現れ、黒百合の隣に立った。 「フフッ・・・まだ名乗らないよ。私の事はいずれ分かるさ…私は、いつでもお前達を見ている」  男の口元が静かに上がる。 『何がいつでも見ているだ!変態が!!離せっ!』 「おや、青百合はこんな性格だったかな…?」  変態は余計だよ、と呟いた瞬間 『―!』  グイッと青百合の顎を掴み、自分の顔の目の前に顔を近付けた。  青百合は目を見開いて、男を見つめたまま固まる。 「ん~…まぁ性格は変わると言うしね」  うすら笑みを浮かべ、顔から離すと青百合を黒百合の方へ押し出す。 『―!!?』  青百合は躓く。咄嗟に黒百合が彼女を支えた。二人共、視線は男の方だった。
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