Rose3 廃墟の村と橙と一人の男

17/41
前へ
/716ページ
次へ
 白薔薇は睨みを利かせた目で、赤薔薇を守る態勢になっていた。 「おやおや、か弱い女の子が死にかけの男の子を護って、あぁか弱い…」  細面の眼鏡を掛けた男は、笑みを浮かべる。 「…誰よ、あんた!?」 「なに…私は唯の通りすがりの人間だよ」  笑みを浮かべ、土足で家の中へ入ってきた。いや、白薔薇達も土足だから意味はない。  益々白薔薇は深く構え、赤薔薇を護る。 「何よ!来ないで!!」  近くの果物ナイフを手に取り、男にナイフの先を向ける。 「おやおや、抵抗ですか」  男は、笑みを浮かべた。 「私を見て、何も思わないんですね…?」 「ぇ?」  白薔薇は、男を見た。 「私はね―」  右手をゆっくり上げた…。
/716ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90人が本棚に入れています
本棚に追加