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「相手が誰であろうと、教えるのはハンドボールだ。お前なら問題ない。」
「でも…!」
「まぁ、近々先方から電話があると思うから、後はよろしく頼む。じゃあ。」
「ちょ、ちょっと待ってくだ……」
ツー、ツー、ツー……
食い下がる大蔵をよそに、電話は呆気なく切れた。
腹立たしい気持ちが真っ先に頭の中を駆け巡ったが、あの藤原相手では怒るだけ体力の無駄である。
「あのオヤジ、全く変わんねぇな。ったく、最悪のモーニングコールだ…」
吐き捨てるようにそう言うと、大蔵は切れた携帯を掛け布団の上に放り出し、起こしていた上半身を勢いよくベッドの上に打ち付けた。
すっかり目は覚めてしったが、清々しさは全くなく、倦怠感だけが残った。
そして大きなため息をつくと、ボソッと一言呟く。
「電話……
出なきゃよかったな…」
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