始まりの電話

9/9
前へ
/81ページ
次へ
「相手が誰であろうと、教えるのはハンドボールだ。お前なら問題ない。」 「でも…!」 「まぁ、近々先方から電話があると思うから、後はよろしく頼む。じゃあ。」 「ちょ、ちょっと待ってくだ……」 ツー、ツー、ツー…… 食い下がる大蔵をよそに、電話は呆気なく切れた。 腹立たしい気持ちが真っ先に頭の中を駆け巡ったが、あの藤原相手では怒るだけ体力の無駄である。 「あのオヤジ、全く変わんねぇな。ったく、最悪のモーニングコールだ…」 吐き捨てるようにそう言うと、大蔵は切れた携帯を掛け布団の上に放り出し、起こしていた上半身を勢いよくベッドの上に打ち付けた。 すっかり目は覚めてしったが、清々しさは全くなく、倦怠感だけが残った。 そして大きなため息をつくと、ボソッと一言呟く。 「電話…… 出なきゃよかったな…」
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加