始まりの電話

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(電話か?) 六回目のコールが鳴ったあたりで、大蔵は枕元にあった携帯に手を伸ばた。 「…もしもし」 携帯を耳にあてる前に通話ボタンを押していたため、ベッドの中でゴソゴソと動いている音が、電話の相手には真っ先に聞こえていた。 「なんだ、真宮寺。久々のいい天気だっていうのに、まさか今起きたのか!?」 まだ半開きの目で寝返りをうち時計を見ると、13時過ぎ。 普段ならまだ気持ちよく寝ている時間に起こされ、不機嫌極まりなかったが、この早口で甲高く聞き取りにくい声。 聞き覚えがあるどころか、大蔵は三年前までこの声に毎日怒鳴られていた。 切るわけにはいかなかった。 「…はい、今起きました。 …なんですか?監督」
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