始まりの電話

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寝起きの大蔵のけだるそうな態度などお構い無しに、矢継ぎ早に言葉が返ってくる。 「なんですかじゃない!こんな平日の真っ昼間にまだ寝てるなんて、学生じゃあるまいし。ちゃんと仕事はしてるのか?」 「一応バイトはしてますけど。」 「やっぱり就職してないのか!ハンドはどうなんだ?」 「今はやっていませんし、どこも教えてません。藤原監督、もういいですか?眠いんです…」 言い終わると同時に大きなあくびが出ていた。 一刻も早く電話を切って、もう一度眠りにつけと身体が正直に反応していた。 大蔵は布団をかけなおし別れを告げようとした。 しかし、藤原の甲高い声はしつこく追ってくる。 「ちょっと待て!今日はだらしない生活を送っているお前に、いい話を持ってきたんだ。」
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