始まりの電話

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「なんだ、寝起きのわりにはいい勘してるな。というかまだ根にもってたのか?」 笑い混じりに言う藤原の言葉を聞いて、初めて大蔵の言葉に熱がこもる。 「当たり前ですよ!あんなもろ発展途上国に行かされて!!腹は壊すし、煙草代やらタクシー代はぼったくられるし、死体は普通に道端に転がってるし…」 大蔵は今年の1月~3月まで藤原の推薦で、青年海外協力隊の一員としてバングラディシュ代表の臨時コーチをしていた。 バカンスついでに教えてこいと言われ、詳しい詳細を聞かされたのは契約書にサインをした後。 『いい話』が一転して、命の危険にもさらされたのだ。当然の反応である。 「終いには滞在してたホテルのすぐ近くのビルが、テロの標的になって全壊したんですよ!笑い事じゃないっすよ!!」
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