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話をしてる間にも
神社の境内の、大きな桜の花が風に乗ってより大きく広く
沢山の花びらが少年と少女の前を舞う
少女を守るかのごとく舞う沢山の桜
景色を遮るかの様な舞を見せるその桜
「っ………。」
少年はどこか
頭の中がフワリとした浮遊感の様な感覚に襲われ始める
「祭は嫌いじゃないわ。もうそれこそずっとずっと昔から催されてきたお祭りだから。」
「………。」
「桜の花はね、人間を酔わすの。沢山の桜は道を見えなくさせるの。だから境内の、桜の鬼に見初められたら後には戻れないの。」
「………。」
「だから危ないよって言ったのに。」
クスクス笑いながら
ゆっくりと崩れ落ちた少年を受け止めると、少女はにっこりと微笑んだ
意識を失い眠るかの様に倒れた少年を少女は見る
「境内に来た時点で、お兄ちゃんを帰すつもりは無かったけどね。
これで来年もまた綺麗な桜を咲かせられるわ。」
笑い続ける少女の瞳が強く妖しく光る
口元の犬歯が大きく牙の様になり
髪の毛から二本の角が生える
そうして少女は
緩やかに眠る少年の喉元に口を寄せ……………
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