ほのぼの?

4/10
前へ
/16ページ
次へ
「別にいいのよ? 私みたいに未練だらけの人間は、亡霊だの何だのになって、その未練を晴らすためだけに動くようになる。ただそれだけ」 奈津はお茶をすする。 幽々子はふっと目を閉じた。 「果たしてそうかしら?」 「……?」 幽々子はお茶をすする。 桜が風に舞った。 「今のあなたを動かすもの。それは未練や恨みなんかじゃないような気がするのよね」 「何を言っているのよ。私は源への恨みだけで動いている。それ以外にないわ」 二人は互いにお茶をすする。 「今の源は、刺しても燃やしても、死ぬどころか傷ひとつ付かない。だから、私があいつと一緒の場所に留まって、一生をあいつへの恨みに捧げることにしたの」 留まる理由を述べながら、奈津はお茶をすする。 「逆に……」 幽々子は湯飲みを口に持っていった。 「もう源は死なない。だからあなたはもう、源を恨むことを半ば諦めているんじゃないの?」 「……!」 桜吹雪が舞った。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加