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妖夢が全ての相手をし終える頃。
吹き荒ぶ風は止み、辺りを覆っていた薄い砂塵もおさまった。
それによって地面も露わになり、妖夢が切り捨てていった藁人形たちが無残な姿で現れた。
「ふぅ……」
妖夢は額の汗を手の甲で拭った。
傍から見ていた幽々子は拍手をしている。
「お疲れ様。また腕を上げたかしら?」
「いいえ、やはり動かない人形が相手では、いまいち掴みづらいと言いましょうか……」
妖夢がそう言うと、幽々子は閉じた扇子で顎の辺りを軽く叩きながら考え込んでいた。
「うーん、そう? 悪くはないと思うんだけど」
「やはり、ちゃんと相手がいる修行の方が、色々身に付くものもある……と思っているんですけど」
確信があるわけではないので、いささか自信なさげに妖夢は言った。
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