カイコウ

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夏休みが始まって、はや三日。 その日、金の短髪に黒い瞳の彼、柊 和兎(ひいらぎ かずと)は、図書館にいた。 仲の良い友人と二人で、バカ広い大図書館を漁るのは、まぁ楽しい。 これで友人が女なら…せめて、もう少し愛想がよかったら… とか思っているのは誰にも言わないだろうが。 「さて…なんか懐かしいモンを見つけたわけだが…」 手にしたのは、古ぼけた童話の絵本。 「何年前かな…」 …思うに、五歳の時以来か? ”不思議の国のアリス” 変な穴に入り込んで、変なウサギについて行って、変な猫やら変な女王やらに出会う物語、だと記憶している。 しかしまぁ曖昧だ。 また読んでみるのも悪くないかもしれない。 「うわ…すごい埃…」 ページを開いた途端、大量の埃が舞い上がる。 「あぁ目に入っ…いたたたたた!?」 突如首筋に走る謎の痛み。 これは、そう、注射針の痛み。 唐突に眠気がしてきた。 Down,down,down.《落ちる、落ちる、落ちる》 Would the fall never come to an end?《どこまで落ちたら終わるのだろう》
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