3人が本棚に入れています
本棚に追加
辿りついたのは、野原の上に丸テーブルと椅子を置いただけの光景。
「遅くなってすまない、諸君」
「何々、待ってないヨ帽子屋サン♪」
ウキウキと片言で返すのは、
ダブダブの黒いセーターと、
ダブダブの黒いジーンズを身に着けて、
黒いウサギの耳をつけた、
短く切った病的な白いボサボサ髪と、
病的な白い皮膚と、
病的に痩せた身体と、
異常に紅い眼をした美青年(なんか儚い感じが漂っている)。
「もう少しゆっくりでよかったかな?」
言うのは、さっきの白ウサギ。よくみると茶色のべストを着て、丸縁眼鏡を掛けている。
「スー…スー…zzZZzzZZzzZZ」
テーブルに突っ伏して寝ている奴もいた。
「何はともあれお三方、今日も愉シイ”お茶会”の時間デスヨ♪」
男の発音は訛りというか、カタコトというか、なにせひどく聞き取り辛かった。
「これって…」
だんだん思い出してきた。
これは、”三月兎”の”狂った茶会”だ。
「あァそこの君、君も座りナヨ?余所者でも大歓迎ダヨ?」
「え?俺?」
突然指差された。
といっても、指の第二関節まで袖が覆っているので、どう差したかは分からなかったが。
「じゃ、じゃぁお言葉に甘えて…」
このときは知らなかった。後ろから迫りくる脅威の存在に。
最初のコメントを投稿しよう!