カイコウ

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辿りついたのは、野原の上に丸テーブルと椅子を置いただけの光景。 「遅くなってすまない、諸君」 「何々、待ってないヨ帽子屋サン♪」 ウキウキと片言で返すのは、 ダブダブの黒いセーターと、 ダブダブの黒いジーンズを身に着けて、 黒いウサギの耳をつけた、 短く切った病的な白いボサボサ髪と、 病的な白い皮膚と、 病的に痩せた身体と、 異常に紅い眼をした美青年(なんか儚い感じが漂っている)。 「もう少しゆっくりでよかったかな?」 言うのは、さっきの白ウサギ。よくみると茶色のべストを着て、丸縁眼鏡を掛けている。 「スー…スー…zzZZzzZZzzZZ」 テーブルに突っ伏して寝ている奴もいた。 「何はともあれお三方、今日も愉シイ”お茶会”の時間デスヨ♪」 男の発音は訛りというか、カタコトというか、なにせひどく聞き取り辛かった。 「これって…」 だんだん思い出してきた。 これは、”三月兎(マーチヘア)”の”狂った茶会(マッド・ティー・パーティー)”だ。 「あァそこの君、君も座りナヨ?余所者でも大歓迎ダヨ?」 「え?俺?」 突然指差された。 といっても、指の第二関節まで袖が覆っているので、どう差したかは分からなかったが。 「じゃ、じゃぁお言葉に甘えて…」 このときは知らなかった。後ろから迫りくる脅威の存在に。
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