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「すまんな、まさか避けんとは思わんでな」
一体何なんだよ、という前に。
「はやく止血しないと…」
「ん?こんなのかすり傷…」
「かすり傷が腐って死にました、じゃ笑い種だろ?ああでも包帯が…」
このへんが、ヤンキーなのに保健委員をやっている所以である。
「包帯ならあるぞ。…ほら、ここに」
言った帽子屋は、なんとシルクハットの中から包帯一巻き分を取り出した。
「便利だな、それ…」
「ティーセットもあるぞ」
「・・・いい、出さなくていい」
止めると、なぜか残念そうな顔をする帽子屋。
「ほら、傷口みせろ」
「かすり傷だと言っただろう?それに、ほら…」
切り裂かれたコートの肩部分を捲る。
「…治ってる?」
「私は人より頑丈なのだ」
ふふん、と得意げな顔をする。
「そーなのかー…」
平均並な身長の俺より頭一個分低いのにな。
ガッガッガッ
何かが近づいてくる音がする
「む…まずい…少し匿ってくれんか?」
「ンン?良イデスヨ?いつまでもいてクダサイ?」
「感謝する。では…」
言って、テーブルの下、テーブルクロスの中に潜り込む。
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