第二章 あちらとこちら

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 「ところで班渠。   景麒と連絡は取れる?」 陽子は再び何かに話しかけた。 はい、と再び返事が返って来た。 「陽子…いい加減床と話すのはやめた方がいいぞ。」 虎嘯の言葉に陽子は笑う。 「麒麟の使令を床扱いとは…偉くなったな。」 「…」 「過ちを突かれてだんまり?  虎嘯、あまり軽率な発言はしない方がいい。」 「…すまなかった。」 知子には、2人の会話がよくわからなかった。 「あれ、麒麟の説明もしてなかったかな。  簡単に言ってしまえば、王の次に偉い人物…かな。  台輔と呼ばれる。」 「何か違う気もする…。」 虎嘯は小さく呟いた。 「話を戻そうか。  班渠、景麒に客人を一人連れていくと伝えてくれ。」 はい 「…しばらく行動を共にしていたが…。  慣れないものだな。」 「まぁね、姿は見えないし。 ん?どうかした?知子。」 知子は何かを考えて込んでいる風だった。 「えっ?あっ。  …その、班渠っていうのは、麒麟って人?の使令…なんだよね?」 知子は一つ一つを確かめるように言葉を紡いだ。 「うん、そうだよ?」 「じゃあ、どうして陽子が使令を使っているの?  陽子が麒麟?」 「…私は麒麟ではないよ。 その理由はその内判るさ。」 陽子はそう言って立ち上がり、寝室に戻った。 「ねぇ…陽子は何者?」 「あいつが隠そうとするものを俺が言えると思うのか?」 「…それは…」 「俺はいつでもあいつの味方だ。」 それは暗に、知子の事を信用していないということだろうか。 「あいつに変なことを、少しでもしようとしてみろ。  命はないと思え。」 「そんなこと!」 「しないって言い切れるのか?」 「…それは…」 「せいぜい気をつけるんだな。」
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