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すると、利君はやっと首をひねって天井から私の方に視線を向け、
案の定、嬉しそうに話しだした。
「今度の週末に、赤ワインをベースにしたソース作ろうかなって。
ハルカはソースの隠し味、醤油と赤だし味噌、どっちが良いと思う?」
・・・ぶっちゃけどっちでもいい。
「迷っちゃうよな。どっちも良い役割を果たしてくれそうだし。
じゃあ赤ワインソースに合わせるのは、ハンバーグとカツオのステーキ、どっちが良いと思う?」
だからどっちでもいいって。
私は薄目で利君の笑顔を見ながら、心の中でため息をついた。
「・・・利君の好きなようにしなよ。
利君が作れば、何だって美味しいんだから。」
「まあそうだよな。」
結局最後に私がこう言えば、利君は満足して話を終了させてくれる。
きっと鼻っから利君は、この言葉しか望んでないんだ。
利君の家に転がりこんでから約1ヶ月が経ったけど、
彼のこうゆう自己満的な性格は、けっこう分かってきた。
「そういえばハルカは、いつまで俺の家に居るつもりなの?」
不意に利君は、思い出したようにそう言った。
その言い方は、“早く出て行けよ”というよりも、
ただ純粋な疑問をぶつけた、という感じだ。
・・・いつまで。
いつまで居ようかな。
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