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別に、他の男の家に転がりこもうと思えば、いつでもできるけど・・・
思ったよりもココは居心地が良すぎて、けっこう長居してしまった。
「まだココに居たら、迷惑?
利君が迷惑なら出て行くよ。」
私がそう言うと、利君は少し考える素振りをしてから、首を横にふった。
「いんやー。別に迷惑じゃないけど。
やっぱり家に帰った時、ハルカが居てくれると嬉しいし。
食べてくれる人が居ると、ごはんも作りがいがあるし。」
後半はともかく、前半の返答は何だか意外に思った。
求められるまで他者を求めない、自分から他者の世界に入りこまない、
自分の世界に没頭しがちなマイペース人間。
こんな彼でも、“一人暮らし”を、寂しく思ったりするんだろうか。
私は仰向けに横たわっていたけど、寝返りを打って、
利君の大きくて温かい胸の中に顔をうずめた。
「じゃあもうちょっと利君の家に居ようかな。利君のごはん美味しいし。」
「あ、ほんと?じゃあ明日は何食べたい?」
嬉しそうに弾む利君の声。
きっと今の彼の頭の中では、いろんなレシピが猛スピードで回転しているんだろう。
・・・その期待を裏切ってしまうのも、たまにはいいかもしれない。
「明日はご飯いらない。お昼からバイトだし、夜も出かけるし。」
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