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「引きこもってないよ。隣街のスパイス専門店にまで行って、スパイスを厳選してきたし。
それにカレー作りに奮闘して、俺だってエネルギー使ったよ。
はい、早く食べよ。いただきます。」
よっぽどお腹がすいていたのか、
利君はそう言うやいなや、すぐにカレーをスプーンですくい、口に運んだ。
そんな彼の動作を見送ってから、私もスプーンを手に取り、カレーを食べ始める。
甘さが口の中に広がってから、少し経って、ピリっとした辛さが舌を刺激する。
少し塩が効きすぎている気もするけど、それが全体の味をうまく引き締めている。
濃厚なルーが、野菜と白米に良い具合に緩和されて、良い感じだ。
ふと視線を感じ、口元に運んでいたスプーンを止める。
顔を上げると、利君は嬉しそうに私を見ていた。
「美味いだろ?少し高めのスパイス加えてみたんだ。
それに、今日は大胆にもレモン汁と生クリームを混ぜ合わせてみた。
後でレシピ見たい?」
「美味しいけど、レシピにまでは興味ない。」
飾りもせずオブラートにも包まず、私がはっきりとそう言うと、明らかに利君の表情は暗くなる。
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