日常の中身 ~サクラ視線~

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今度の買い主は素晴らしい人で、ワタシがこれまで出会った人にはいない種類に入る。 彼はシャーク・ザ・リフトと云い、仕事は【探偵】をしている。 ワタシを置いてくれるだけじゃなく、彼の同居人にまでしてくれて、しかも助手をやらせてもらう事にもなった。 彼の力になれるのは嬉しい……のだが、彼の性格はかなり扱いにくい――と言うか、難しい。 初めて出会った夜に、¨私は屁理屈で、感情にも疎くて人付き合いが苦手な変わり者¨と言っていた通り、そうとうの変わり者だ。 機嫌が良い時はよい話し相手やチェスをしてくれたりヴァイオリンでワタシのリクエストを引いたりしてくれるが、機嫌が悪い時はずっと黙り込んでソファーに体を寝かし、何時間もパイプを吹かして部屋中を煙だらけにする。 この前なんかそのおかげでファンクロスト夫人に怒られた。
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