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チャイムが鳴った。
俺の予想だとそろそろアントーニョのご登場だ。
「ギルたん!フケるで!」
「ばっ、お前!先生居んだろ!!」
「あ、ほんまや」
この能天気馬鹿野郎はアントーニョ。俺の…親友だ。
廊下を歩く。
授業と授業の合間の休み時間。
生徒もちらほら廊下で騒いでいる。
まずい、向かいからルッツが歩いてきた。
見つかるとかなり、まずい。
「おい、アントーニョ。」
俺は顔をルッツに向けながら言った。
「走んぞ、後ろに」
「え、何で?フランシス迎えにいかんとっ!?」
言い終わる前にアントーニョの手を引いて走った。
廊下を走るな、という先生の声を聞いた気がする。
そして屋上まで辿り着いた。
肩で息をするほど心拍数が上がっていた。
「けせせ…年取ったな…」
「はあ、…はあっ…何、言うとんねん…」
「え、お前突っ込めるんだな」
「うっさいわボケ」
滅多にないアントーニョの暴言を聞いて、今日も平和だ、なんて思った俺がいた。
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