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「カラオケ行きたいー」
「…俺がカラオケ嫌いだって知ってて言ってんだろ」
「お兄さんもカラオケ行きたいなー」
そんなこんなで時間は進む。
生憎この時間が終われば昼だ。
そのまま飯食って、
授業出て、
きっとカラオケ行って、
帰る。
ただそれだけの日常がなんだか平和に思えた。
戦うために生まれた俺のささやかな、平和。
束の間の、一時。
「ギルたん、なんか暗い顔しとるー」
アントーニョが右頬をつねる。
「フランシス兄さんと一緒に居るんだからもっと笑えー?」
フランシスが左頬をつねる。
物思いに耽っていた俺はその痛みで我に帰った。
「いででででででで」
「ふそそそそそそそ」
「によによによによ」
まあ難しいことは考えないようにしよう。
俺様の頭脳はルッツだからな!
今日も晴天。
例えば、違う俺が違う世界で苦しんでいたとしても。
例えば、本当に俺が独りになって、消滅していても。
例えば、俺が必要のない世界があったとすれば。
──ああ、世界は、平和だ。
(平和な世界を望むこと)(俺にとってそれは矛盾しているように思えた)
★★★
プロイセンを感じながら生きるギルベルト。
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