日々の色

4/10
600人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
-T『なぁ..かめ。』 頭の中で考えを進めていたら、聖が話しかけてきた。 『ん??』 -T『嫌ならFAXでも良いんだぜ??』 T『そうだよ??無理に話さなくても大丈夫だと思うよ。』 『ありがとな、田口、聖。 でも、俺は負けないから。 自分にも事故からも。』 T『かめ..。』 『今はやるしかない。 だから、会見はちゃんとやる。』 U『かめがそう言うなら良いんじゃない。』 『上田の言う通り。 俺がやりたいと思うからやるの。』 -T『わかったよ。』 N『さぁ、俺らはそろそろ行くわ。 無理すんなよ。』 そう言って、聖と田口と中丸と上田が立ち上がり、病室を出ていった。 『で、お前はどうして帰らないんだ??』 A『仕事ないから??』 『俺に聞くな。 それと、仕事ないんだったら、家帰ってゆっくり休めよ。 俺みたいになるよ。』 A『....。』 『黙るなよ。今笑うところだからな。』 そう言って俺は笑った。 A『..気付いてないのは、かめだけだからな。』 『...何の話??』 A『笑えてないから、心が。』 『何言ってんだよ。』 俺がそう言い終わると、仁は俺の体を抱きしめた。 A『そこまで気張ってやる必要あんの??俺の前で。』 『...。』 A『何のために俺がかめと一緒にいると思ってんだよ。』 『...。』 A『かめが好きで、一人で泣いたり、一人で苦しんだりしてほしくないから側にいるだよ。』 『...。』 A『かめはそうじゃないの??』 『...。』 俺は黙って顔を横に振った。 A『俺はかめのためなら何でもする。』 『...。』 A『かめが辛いなら俺もその辛さを一緒に味わう。 俺に話せないとかなら、千歩ぐらい譲って他のやつを俺が呼んでやるから。』 『...じ、ん。』 A『だから、話してスッキリさせろよ。かめの心の闇を。』 『...誰か聞いてくれるかな??』 A『かめが望むなら、みんな聞くと思うよ。 みんなかめの頼みには弱いから。』 そう言って仁は俺から体を離して、笑顔を見せた。 『ねぇ..。』 それを見て俺は仁の耳元で頼み事をした。 A『..わかった。 伝えとく。』 『ありがと。』 A『いいよ。 面会時間ギリギリだから、帰るわ。』 『車に気をつけて帰れよ。』 俺はふと無意識に事故のことが頭を過り、思わずそう言った。 A『...わかった。』 そう言って仁は俺のおでこにキスをし、帰っていった。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!