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-T『なぁ..かめ。』
頭の中で考えを進めていたら、聖が話しかけてきた。
『ん??』
-T『嫌ならFAXでも良いんだぜ??』
T『そうだよ??無理に話さなくても大丈夫だと思うよ。』
『ありがとな、田口、聖。
でも、俺は負けないから。
自分にも事故からも。』
T『かめ..。』
『今はやるしかない。
だから、会見はちゃんとやる。』
U『かめがそう言うなら良いんじゃない。』
『上田の言う通り。
俺がやりたいと思うからやるの。』
-T『わかったよ。』
N『さぁ、俺らはそろそろ行くわ。
無理すんなよ。』
そう言って、聖と田口と中丸と上田が立ち上がり、病室を出ていった。
『で、お前はどうして帰らないんだ??』
A『仕事ないから??』
『俺に聞くな。
それと、仕事ないんだったら、家帰ってゆっくり休めよ。
俺みたいになるよ。』
A『....。』
『黙るなよ。今笑うところだからな。』
そう言って俺は笑った。
A『..気付いてないのは、かめだけだからな。』
『...何の話??』
A『笑えてないから、心が。』
『何言ってんだよ。』
俺がそう言い終わると、仁は俺の体を抱きしめた。
A『そこまで気張ってやる必要あんの??俺の前で。』
『...。』
A『何のために俺がかめと一緒にいると思ってんだよ。』
『...。』
A『かめが好きで、一人で泣いたり、一人で苦しんだりしてほしくないから側にいるだよ。』
『...。』
A『かめはそうじゃないの??』
『...。』
俺は黙って顔を横に振った。
A『俺はかめのためなら何でもする。』
『...。』
A『かめが辛いなら俺もその辛さを一緒に味わう。
俺に話せないとかなら、千歩ぐらい譲って他のやつを俺が呼んでやるから。』
『...じ、ん。』
A『だから、話してスッキリさせろよ。かめの心の闇を。』
『...誰か聞いてくれるかな??』
A『かめが望むなら、みんな聞くと思うよ。
みんなかめの頼みには弱いから。』
そう言って仁は俺から体を離して、笑顔を見せた。
『ねぇ..。』
それを見て俺は仁の耳元で頼み事をした。
A『..わかった。
伝えとく。』
『ありがと。』
A『いいよ。
面会時間ギリギリだから、帰るわ。』
『車に気をつけて帰れよ。』
俺はふと無意識に事故のことが頭を過り、思わずそう言った。
A『...わかった。』
そう言って仁は俺のおでこにキスをし、帰っていった。
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