第二章 刀と彼女と俺

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 つまり俺は、神宮寺三倉を殺し切れていなかった。そして彼女は、刀の中で回復を待っていた、というわけだ。しかもいつも俺を見ていたらしい。あれかな。呪いで死ぬのを待っていたとか、そんな感じだろう。俺が死ねばとりあえずの脅威は去るわけだし。  でも不思議なことが一つ。呪いをかけたのが彼女なのはまあ、分かる。で、その呪いが生きているのも、彼女がまだ消えていないという事実からも分かる。そこまでは良い。ただ、そうすると一つ問題があって、八雲さんの言っていた、その刀のおかげで俺が生きているというのが良く分からない。  普通に考えれば、刀を俺が手にして戦った。そして勝てたのは俺自身の力ではなく、刀の力によるものだから、だから俺が今ここに生きているのは刀のおかげ。という感じに捉えるのだろうけれど、きっと違うんだろうなぁ。  恐らくだけど、あの妖怪少女(?)が言っていたのは、刀そのものじゃなく、その中にいた神宮寺三倉のことだろう。  だから、そう考えると不思議なのだ。呪いをかけた張本人のおかげで俺は今生きているとかどういうことだよ。意味がわからん。
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