第二章 刀と彼女と俺

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 まあ、本人が目の前にいる(いるという表現でいいのかしらないけれど)から、直接聞けばいいんだよね。  ということで思い立ったが吉日、れっつとらい。 「八雲さんは俺が助かったのは、たぶん、お前のおかげだと言っていたけれど、あれは何?」 「……私が、貴方にかけてあった呪いのことを教えたから、かしら?」  ん? それはつまりどういうことだ? 彼女は俺に呪いをかけ、その呪いのことを八雲さんに伝えたから助かった? 「それっておかしくないか? 俺を殺す為にかけた呪いのことを他人に告げたら助かるってどういうことだ?」 「まず、貴方を助けたのはあの八雲紫。だから貴方が助かったのは実は彼女のおかげなのだけれど」  なんとなくそんな気はしていたけれど、肝心の俺の呪いのことを教えた理由がわからない。と言おうと思ったけれどまだ話は続くようだ。こんなに饒舌(じょうぜつ)な彼女初めて見たぜー。どうでもいいけど。 「それでは何故そのことを伝えたかわからないだろうから言うわ。その、恐らく私の気の迷いだと思うのだけれど、えーと……私が貴方を死なせたくないと思ってしまった。だから、彼女に貴方のことを教えたということでどうかしら」
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