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どうかしらってなんですかね。
何、この元ラスボスさんは。俺を死なせたくないとかどういう了見でそんな発言しているんだろうね。まっこと勝手すぎる。純粋に助かったとは思うけれど、やっぱりどう考えてもおかしいだろう。そのまま放っておけば、俺はトラックに轢かれて死んでいたはずなのだ。なのにわざわざ助けやがった。
馬鹿も休み休み言え、と言いたいね。言わないけれど。言いたくないから。
冷静になぜそんなふうに思うようになったか考えてみるほうが良い。そのほうが落ち着く。頭痛もまだ治まってないし、怒鳴る気力もないし。
まあ、色々理由は浮かぶのだけれど、とりあえず有り得ないっぽいのから消していこう。消去法でいくぜ。
まず一つ。俺に惚れた。これは有り得ない。何せずっと物置に閉じ込めていたのだ。それなら俺を見ることもできないわけで、どうやって惚れるというのか。しかもお互い憎み合っていた敵同士なのだから、なおさらだ。
で、二つ目。呪いという方法以外で俺を殺したくなった。これはまあ、有り得ないでもない。恐らく彼女は刀の中で回復を待っている。刀自体が妖刀だから、その力を自分のものとすれば自然と以前の力を取り戻すことが可能なはずだしね。
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