第二章 刀と彼女と俺

7/7
前へ
/232ページ
次へ
 素っ気ないなぁ。でも別に、とっつきにくいというほどではないからいいのかな。 「じゃあ、早速始めるから付いて来て」 「ああ、わかった」  まだ頭痛は治まらないが、そんなことを言って後回しにするのは良くない。あの轢かれそうになったのが呪いの所為なら、まだ気は抜けないのだから。  しかし、良く寝ている間も、そして起きてからも何事もなかったな。一応いろいろあって混乱気味ではあるけれど、命には別状ないみたいだしね。  てなわけでもっそりと立ち上がり、既にこちらに背を向けている霊夢に付いていく。そういえばいきなり名前を呼び捨てても特に問題はなかったみたいだ。これなら八雲さんも普通に紫とか呼んでも大丈夫? うーん、でもなんか紫って呼び捨てするのは合わなそうだよなぁ。紫さん。うん、これならしっくりくる。次からはこう呼ぶか。きっとすんなり受け入れてくれそうだし。  あ、そういえばあいつを忘れていた。まあ、大丈夫だろう。今は刀なわけだし、勝手に動くなんてことはないはずだ。  さーて、さっさと呪いを解いて貰って帰ろうかね。  え? どこにって? もちろん元の世界に。さすがにもう妖怪だのなんだのって言うのは勘弁願いたい。どうせだから刀も置いていけたらいいなぁ、なんてね。  もちろん嘘ではない。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加