序章

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 俺はたぶん、死んだ。  二十歳になってから初めて迎えた成人の日。成人式も、そのあとに行われた中学校の同窓会も終わった。  それなりに楽しかった。式では小学校から高校までの友人の大半に会えたし、同窓会では酒を交わしながら昔話に花を咲かせることもできた。まあ、昔話の一部は誰もが意識して避けていたけれど。  でも、それでも皆、当時のことを掘り返すことなく過ごすことが出来たのは、とても良いことだと思う。  たとえば、中学三年生の夏頃から三年間、俺が妖怪共と戦っていたこと。まあ、これ以外避けるべき話題はないのだけれど。  当時、俺の住む神宮町では、小学生の失踪事件が多発していた。小さく大した特色もないこの町で起きたその事件は、県だけでなく、全国的に広まっていた。たぶん、当時は町民よりも警官たちのほうが多かったかもしれない。  そしてその事件は四ヶ月もの間、収まることなく起き続けた。最終的には二十人が失踪。その内助かったのは僅か六人、だったか。  この事件を起こしたのは、神宮町に巣食う妖怪たちで、それを退治したのがこの俺、宇條桐嗣(うじょうきりつぐ)なのだ。
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