第一章 あ、死んでいませんよ

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 気付いたら見知らぬ天井を見つめていた。なんていうありがちな展開はスルーするとして、俺は生きていた。区切り的に前章で死ぬとか叫んでいたようだけれど、生きている。  あれかな。身体は痛くないから、トラックに轢(ひ)かれたけれど無傷で生還していた、なんていう展開なのかな。まあ、有り得ないけれど。  とりあえず頭痛が酷いし、その上身体が妙に重たいので身動きとらずに現状把握に努めよう。  現状その一、布団に仰向けで寝かされている。  現状その二、畳の匂いがするのでここは和室。  現状その三、上空で何やら両端にリボンの付いた線が入り、何か開いた。  や、もう何が開いたのか良くわからないけれど、時空が切り拓かれた、みたいな。そんな感じ。その中に人間の目みたいなのが大量にあって、それがこっちを見ていて、すごく気持ち悪いです。  とか思っていたら中から何かが降ってきた。なんか紫のドレスっぽい服を着た、金髪を腰まで伸ばしたび「じょっぷっ!」 「あら、それ新しい挨拶かしら。じょっぷ!」  違うのだが腹に重たい衝撃を受けて悶絶(もんぜつ)中の俺は言い返せない。とりあえず金髪を腰まで伸ばした美女と言いたかっただけなのにー。
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