無題

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  サヨナラすら言えなかったのは、 僕がまだ幼かったから? 僕らはきっと、永遠だと 思い上がって、 調子にのって、 傷つけていたのは僕の方だったのかもしれない。 サヨナラも言えずに、僕が君から離れたのは 逃げたかっただけなのかもしれない。 傷つけた言葉も 傷ついた心も 傷だらけの僕らも すべてがなかったことにできるのなら、 どんなに楽だろう。 サヨナラくらい言いたかったと、 今なら思える。 サヨナラくらい言いたかったと、 今さら思っても もう遅い。 遅すぎた謝罪は、 未だ君には届けられず 色褪せた記憶の中 今も笑い続ける君に 告げることしかできない。 弱虫な僕を許さなくてもいい。 強がりな僕を恨んでもいい。 僕も なにも言わなかった君を 許すことはできていないから。 サヨナラすら言えなかったのは、 お互いを許しあえていなかったからかもしれない。 いつか また 君と出逢えたら、 その時は サヨナラと言える僕になれるように、 今目の前にいる大切な存在達を 精一杯 愛していこう。
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