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胸を濡らすそれが何かは気付くのに時間はかからなかった。
涙。
少女の目から止まる事無くあふれ出る涙を痛む体でフランの頭をくしゃくしゃと撫でてやる。
「……大丈夫、ちゃんと生きてるぜ」
「……友……その……」
両手で己の涙を拭いながらも何か言葉を伝えようとするが涙がそれを邪魔をする。
「……ならねぇよ。嫌いになんて」
「え……なんで……判ったの?」
「そりゃ……そんな顔してたからかな?」
咲夜さんがハンカチでフランの顔に付いた涙の後を付記ながらそんな会話を交わす。
「でも……私……友に」
「あぁー今日のは弾幕ごっこのいい練習になったな。やっぱ俺はまだまだだなー」
だんだんと声の小さくなるフランに対し、俺は明るく接してやる。そうだ、この少女にもちゃんと感情がある。悲しみや涙、そう言った物もちゃんと持っている。
もう一度頭を撫でればにっこりと笑ってやる。
「俺はフランの事を嫌いになんかはならないぜ?なぁに、何度でも遊んでやるさ。体は丈夫な方なんでな」
「うぅ……ゆぅぅう!」
「ちょ、まだ怪我してるから開く……あぁあぁぁぁ?!」
先ほどよりも力強く抱き締められ、更に激痛が全身を走る事となった。今日も紅魔館で平和な一日が過ぎていくのだった。
~完~
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