~バトル~

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    ―――――――†―――――――     「やれやれ……毎回だが無茶ぶりがお好きなお嬢様だねぇ」     一歩を踏み出す毎に足音がはっきりと谺(こだま)し、その音は光の差し込まない奥に飲み込まれ次第に消えていく。そんな闇の中、所々を蝋燭だけが橙色に照らし足元の石で出来た階段を照らしだす。 俺以外は誰も居ない階段を下りながらそんな呑気な事を呟く。     「たまたまレミリアのプリンを食べちまっただけなのに罰としてフランと遊んでこいとか……」     あんな涙を我慢しながら言われても威厳ってもんが無いな。 先ほどのレミリアの表情を思い出せば、自然と表情が緩む。     「まぁ、俺が悪い訳だしきちんと罪は償いますかねぇ……っと、着いたな」     階段を降りると広い空間が広がる。暗やみに目が慣れてもきたため目の前にある物がはっきりと判る。   それは扉。 俺の何倍もの大きさを持つその扉の奥、そこが俺の目的地。     「開くのか、これ?……まぁいいや。フラーン、居るかー?」     その扉に歩み寄ると、普通のドアをノックする感覚で二度、己の拳をぶつける。扉は鉄で出来ている様で鈍く重量感のある音が二回辺りに響く。   ……返事が無い、ただの扉のようだ。     この奥には確実に少女が一人、居ることは間違いないのだ。 仕方ないので一度扉を押してみる、動かない。 ならば引いてみる。押して駄目なら引いてみろと言うがこちらも動かない。     「実は襖式……何てオチは無いな。さて、どうするかねぇ」     しばらく考えるが簡単に打開策が浮かぶ筈もない。俺はどこか隙間でも無いかと顔をその扉に近付ける。     「わーい、来てくれたんだー!」 「ごふっ?!」     次の瞬間、俺が押してみても開かなかった扉が何事も無かった様に開き、それと同時にもう一度鈍い音が辺りに響く。扉は俺に向かってくる様に開いた。その結果、俺は扉に顔面を強打する事になったわけだが。     「あれ、友何してるの?」 「……ちょっと……タンマ」     ちょ、痛い、すっげぇ痛い。これは笑えない、第三者は笑えるだろうが俺は笑えない。
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