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目の前には赤のドレスに金髪のサイドテールの少女。一見判りにくいがまるで七色の宝石が樹の枝に実った様な異様な形の翼。
その翼をパタパタと動かし、地面から数センチ浮いた状態で疑問に満ちた表情を俺に向ける。
「何でもない……さてと、いい子にしてたかフラン?」
「うん!フランいい子にしてたよ、早く遊ぼ、遊ぼ!」
俺の言葉に眩しい程の笑顔を振りまき、我慢出来ないのか俺の手を引っ張る。しかし見た目以上にこの少女の力は凄まじい。
男性との伸長差や体重差などもろともせず俺の手を凄まじい力で勢い良く引っ張る。
「ちょっと待ッ!判った、判ったからそう引っ張るな!」
「はーい。あ、ちゃんと閉めなきゃ……」
無邪気な少女の無垢な暴力から解放された俺は今しがた通過した扉に近づく少女を目で追う。
扉の前に着いた彼女は俺が押しても動く気配も無かったその巨大な扉の把手を掴むと片手で引っ張り始める。扉は軽々と動き、閉じた時には重い重量のある音が部屋全体に響く。
「相変わらず無茶苦茶な力だねぇ……」
「お待たせー!それじゃ友、何して遊ぶ?何して遊ぼ!」
扉を閉じるとまっすぐ俺の方に飛んでくると無邪気な笑顔で俺の辺りを旋回する様にふわふわとフランは飛行する。
「んーぶっちゃけ遊ぶ内容は考えては無かったんだよねぇ……何かフランはこれで遊びたいってのがあるか?」
男の俺がフランのお年頃の遊びなど何がいいか何て判らない、ならば本人が遊びたい事に付き合えばいいだろう。
フランはしばらく考えながら宙に漂っていれば何か思いついたのか表情を明るくする。
「私お外で朝から夜までおもいっきり遊びたーい!」
「そ、外ってそいつは……レミリアに聞いてみないとねぇ。俺だけの判断じゃ……」
判らない。
そう続けようとした時だった。重く、ずっしりとした空気が辺りを包み込む。
「……あいつが?」
体が暑く冷や汗が止まらない、身体中を危険信号が走り思わずその危険の発信源を振り向く。
「あいつが言ったの?私を閉じ込めた、あいつが!」
「待てフラン。落ち着……!」
震える脚を正気に戻し、地面を蹴りその場から離れる。同時に弾幕と呼ばれる物が地面を粉々に砕く。
「なんでこうなるかねぇ……フラン、決まったぜ」
こうなれば覚悟を決めるしかない。息を大きく吐き、フランを見据える。
「今日の遊びは……フランが好きな弾幕ごっこだ!」
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