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「弾幕ごっこ……本気でソれで私と遊んでクれるのかシら?」
「あぁ二言は無いぜ」
二言は無いと言うよりもこの状況じゃ選択肢が一つしか無い為こう答えるしかない。
フランを見れば赤い両目を見開き、言葉の発音もおかしい。狂ったように笑いながらその片手には赤い光が集まりはじめる。
これはまずい。
それは危険信号、本能から感じる危険。意志とは別に反射的にその場から離れるように地面を蹴り、素早く次の行動を取れるように前回りの受け身を取る。
その直後、先ほどまで居た地面が吹き飛ぶ。耳を突き抜ける様な轟音がすぐ隣から聞こえ、その場所には大きな穴が開いていた。
「いきなりだねぇ……」
「ヨそ見何テ余裕だね」
「いやいや、そんな自殺志願者じゃ無いぜ?っと!」
再びフランの手から湧き出るように放たれる弾の嵐。身を出来る限り小さく縮こまり、その弾幕の僅かな隙間を抜け走る。
逃げてばかりでは始まらない。ある程度まで距離を取ればフランを中心に直進的に放たれる弾幕の隙間も広がり避けるのも容易くなってくる。
「反撃開始……ってな」
俺もフランと同じように弾幕を放つ事は出来る。けど俺はこの様な状況に使うのは適していない。そこで俺は一枚のカードを取出しそこに書かれた文字をフランに聞こえるように読み上げる。
「蛇銃!」
「スペか……?」
俺が読み上げるとそのカードに罅が入り、ガラスの様に辺りに砕け散る。
しかしその破片は地面に残る事無く、水の上に落としたように波紋を広げ溶けるように地面の中に消えていく。
次の瞬間、そこから地面に亀裂が入り《分解》が始まる。所々の亀裂が広がり、地面が表面から抉れ初め、それは光の粒子へと変わり俺の腕にまとわり始める。
「ア、それ見たこト無いネ」
「だろうな、飛ばして行くぜフラン!」
俺の両手をフランに向けると同時に粒子は太い八本の鉄の縄の様な物に変わり左右四本ずつ俺の腕に絡み付く。
縄の先には蛇をイメージしたような頭部が現れる。レンズ越しにフランを見ると各頭部がその大口を開く。
「いいよ!壊しテあげル、ドッかーンって!」
「そう簡単には壊れないぜ?何せ頑丈だからな」
全ての頭部の口から吐き出す様に鉄の銃口がその身を覗かせる。リボルバー、機関銃、ライフルとそれぞれ違う銃口を全てフランに向ける。
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