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次に轟くのは激しい発砲音。八箇所の銃口からは幾度と弾丸を吐き出しその先のフランに向かってゆく。
フランは口元を緩め大きく飛び上がると同時に、掠めゆく弾丸の雨。俺は角度を変え、狙いを定めながら再び銃口が火を噴く。
「こんナの……マだまダ!」
体を曲げフランがクルリと空中で一回転を決めると急激な勢いでこちらに羽ばたいて接近してくる。こう見るとやはり吸血鬼の身体能力は素晴らしいな。
「痛くも痒くもありませんってか……しかし考えが甘いぜ、フラン」
「!!」
山俣遠呂智の内、一本を掴み引き寄せ、頭の中で左右の二本に指令を送る。このスペカの良いところは長、中距離を使い分ける事が出来ると言った所か。
まるで操り人形を操る様に腕を動かせば先端は銃口を飲み込みその強固な頭部をフランに叩きつける様に振り回す。
フランは右からの強打を更に上空にあがり避けると今度は真下くる頭部を見付けるとフランもカードを一枚取り出す。
「あハは!沢山来るネ、禁弾!」
あと数メートルでフランに届くと言った距離でフランはスペルカードを読み上げる。フランの持つカードは紫の炎で燃え上がるとその手に七色の光が集まり始める。
次に放たれたのは七色の弾丸。拡散する様に広がるその弾丸をほぼ間隔の無い距離で強い衝撃と爆発が起こる。
「蛇さんにョろ二ょろ、その首ハどーコだ♪」
「……一匹やられたか」
楽しそうな声でフランは笑うとその紅い目の先に映る頭部を吹き飛ばされた山俣遠呂智の一本を見つめる。
しかしまだ一本。どうやらこのスペカは全てを破壊されない限りはその形状の存在させる事が出来るようだ。
左手で一本を掴み、右手側に指令を送る。俺が考えた通りに二本が動き初めフランを挟み打つ様に両側に回り込む。
「けど、まだ一本だ」
「アハ♪いイよ、全部壊してアげる!」
その二本に先ほどと同じように七色の弾幕をばらまく。しかし、このスペカは俺と繋がっている以上弾幕を避ける事は出来ない。
「二本……飛ぶが……仕方ない」
「……!」
二本の頭部はうねる様な動きでわざと弾幕に自ら当りに行く。数発もまともに食らえば亀裂が入りフランの近くで爆発をおこしその際に爆発による煙がフランを包み込む。
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