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再び足元の地面が砕け地面が抉れ粒子に変換された光が俺の両足にまとわり始める。
次に現れたのは俺の爪先から膝までを覆う白銀の具足。西洋の鎧の様な形に踵には歯車をイメージしたローラーの様な物が組み込まれている。
「こいつも初めてだろ?フラン」
「……!」
俺が構えると同時に具足の隙間からは白い蒸気が噴出され、筋肉と共鳴するかの様にバイクに似たエンジン音がこの部屋に轟く。
「行くぜ……よーい」
「禁忌!」
見たこともない俺の行動に一番近いフランが痺れを切らし自分のスペカを読み上げようと声をあげる。決まった、一人目のフラン。
「……スタートだ」
「クラウベリー……痛ッ?!」
足に力を込め地面をかける、人間が出せる限界のスピードを優に越え、残像だけを残しフランがスペルカードを読み上げる前にその真上にカードを蹴り飛ばすと、その勢いのまま蹴り上げた足を落とし踵落としをそのフランに決める。
鈍い感触。しかしそれは一瞬、後は何もない空間を踵が通過する。そこに居たフランは霞む様に消えてゆく。
「うわッ?!」
「二人目」
すぐ右側に居たもう一人のフランは突然の状況に驚いたのか声を洩らす。左足を軸に体重を移動させ右足を突き出す様に横蹴りをそのフランに決める。
これも同じような感触後、その姿を消し去る。
「せっかく分身してんだ。けど一ヶ所に集めてちゃこうなるぜ」
「そうだネ……けど」
「飛んデる私達にはそれは届かなイよ!」
現在の位置からそこそこ距離のある位置でフランが叫ぶ。対する俺は地面に転がる砕けたサッカーボール大の破片を掴み頬を緩める……全く、考えが甘いな。
「そいつは……どうかな!」
胸付近まで破片を持ち上げるとその破片を叫ぶと同時に放す。重力に引かれ地面に落下する破片をボールを蹴る感覚で蹴り上げる。
破片は砕ける事無く、寧ろ加速しそれは一発の弾丸と化し、また一人のフランを貫く。
「何が……すッごいネそれ!」
「こいつは俺の筋力があがるんじゃない。あくまで物質を加速させるんだ。地面は動かないから加速させれば逆にこちらが反発して早く移動出来るし、今みたいに破片を加速させたら弾丸の出来上がりって訳だ」
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