~バトル~

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    簡単にだが目の前の少女に説明をしてみたが果たしてどこまで理解できたのやら。 そんな事よりも次だ。思考を切り替え何が来てもすぐに対応出来るように構える。     「うフふ、禁弾(過去を刻む時計)」     フランの両手に淡い光が集まり始めた。それは次第に少女の手に余る程まで膨れ上がり、二つの球体へと姿を変える。     「お、そのスペカは初めてだな……」 「いックよ?!」     その手に光る球体を投げ付ければ距離を保ちながらゆっくりと回転を始めた次の瞬間、球体から飛び出る白銀の鋭い四本の刃。     「……これを抜けろってか?中々無茶な事を……」     このスペカは近距離戦で戦うもの、しかし遠距離となればどうしようも無くなってしまう。体の一部を変える以上負荷が大きすぎる為、そう何度も使うわけにもいかない。     「頑張るしかないか……」     幸い少し見ていれば刃と刃が重なる瞬間にもズレがありタイミングさえ掴めば、抜ける事が出来そうだ。   体の中でタイミングを計り、思い切って一歩を踏み出しその十字の刄に挟まれる。回ると同時に移動を繰り返せば少しづつだが前に進める。     「入っちャったネ、そこに」 「……うわっマジかよ」     フランの不気味な声が聞こえ思わず冷や汗が流れる。次の瞬間にフランから放たれる弾幕、刃の回転にも合わさないといけないためにそれは更に難易度が上がってくる。     「これはきっつ……っと?!」     弾幕を避けるのに必死になり移動するタイミングを間違えた結果、真正面から白銀の刃が迫り来る。   避けれない。頭の中で判断すれば次は体、当たるしか無いのならば生身は真っ二つになるから駄目だ。ならばこの足で防ぐように胸付近まで右膝を上げ、脛に刃が当たるように防ぐ。 結果、そのスピードからは考えられない程の衝撃が俺の体を襲い、大きく吹き飛ばされる事になった。     「いつッ?!」 「まだダよ、QED《495年の波紋》!」     吹き飛ばされる中、更に追い討ちをかけるように弾幕が放たれた。     ……ヤバいな、こりゃ     空中で身動きが取れないのではどうする事も出来ない、最後の言葉も実際に声を出したのか心の中で答えたのかも判らない。   身体中に強い衝撃をいくつも受け、その途中に俺は意識を手放した。
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