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―――――――†―――――――
「三日は安静にね、無理をしても今日1日は必ず安静させる事。いくら私の薬でもその位の時間は必要よ」
「それで充分ですわ、ありがとうね」
会話が聞こえた後に扉が閉まる音がする。ゆっくりと、意識が回復すると俺は目を微かに開き、ぼやけた天井を見つめる。
「いっつつ……ここは……」
「あら、本当に効き目は凄いわね。気分はどうかしら、友」
体の節々が動かしてもいないのに刺さるような痛みがある。その痛みに顔をしかめつつ、五体が残っているか確認してみる。右手、左手、右足、左足……神経も生きている。
「すっげぇいてぇ……咲夜さん、俺はどうなったのかねぇ?」
「フランドールお嬢様よ」
白銀のショートヘアの女性……咲夜さんが俺の衣服を畳みながら答えてくれる。その咲夜さんの一言に俺の記憶が鮮明に蘇ってくる。
「そっか……フランは?」
「……そーこ」
咲夜さんは静かに俺の腹部辺りを人差し指を向ける。その行動に疑問を浮かべながら俺は首を起こしてその先を見る。
そこには俺の腹部の上にうつ伏せになり小さな寝息を立てるフランの姿が居た。
「フランドールお嬢様が貴方をここまで連れてきたのよ」
「……フランが?」
「そ、友が壊れちゃうから早く助けてあげてって目に一杯涙を貯めてね」
俺は少し頬を緩ませると痛む体を起こし、その小さな少女の頭を優しく撫でてやる。
「ありがとな、フラン」
「……ん、んん……ゆう?」
どうやら目を覚まさしたのか一度は眠そうな表情を見せるが俺を見るなりその表情が笑顔に変わる。
「良かったぁ!友が壊れてなかったぁ!」
「ぎあぁあぁぁぁぁあぁあ?!」
俺を見るや否や俺の胸部をフランが抱き締めてくる。結果、胸部を中心に連鎖を起こしたように身体中が悲鳴を上げ、激痛が走り回る。
「フランッ!ギ、ギブッ……」
「良かった……良かったよぉ……」
フランの声から徐々に明るさが消え、包帯に何かが滲み込んでくる。
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