帰国

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「どうするんだ」 素直に江嶋は聞いた。 「奴らの半分を一ヶ所に固めて奇襲を仕掛けて残りの半分を個別に殺る…ってのはどうだ?」 「と、言うと?」 浦城が食いついてくる。 「偽の情報を流すんだ。 須崎埠頭での件で取引先が相手を峯たちに鞍替えしたいと言っている‐こう言えば幹部クラスを何人か誘き寄せられる」 「そこまでは俺も考えたが続きがあるのか?」 桑田も食いついてきた。 「もうひとつ、おれたちは東町への進出を謀る準備をしている‐こう流す。 奴らが背後を突こうとして、こちらへ来るなら本拠地には大して兵力は残さないだろう。 そこで、がら空きになった早良町に暗殺部隊を送り込めば楽勝だ。 こっちに大勢で来ても本拠地が危ういとなれば早良町へ引き返そうとするさ、東町進出の見せかけとして用意した兵力でおれたちは奴らの背後を突けばいい」 ニヤリと笑って東尾は答えた。 一同は感心している。 「決まりだな、それでいこう! じゃあ東尾は偽の情報の手配を頼むぞ」 早速、松野は指示を出した。 東尾がうなずくのを確認して次々に指示を出す。 「江嶋と村岡、島津は『見せかけ』の進攻準備、桑田は暗殺部隊の編成をやれ。 オレと相沢、浦城で奇襲部隊を編成する。 細かい指示はまたのちほど。 一週間で準備しろ、遅れるなよ!」 「オウ!」 返事をした一同はそれぞれの準備をすべく出ていく。 松野は目で合図を送り、東尾を引き止めた。 「何か?」 東尾は尋ねる。 「奇襲部隊と暗殺部隊へ幹部をどう割り振ろうか」 「う~ん…誰でもそんなに変わらない気がするが強いて言うなら、奇襲部隊は一撃が強力な相沢と浦城が、暗殺部隊には早く動ける村岡と島津が良いかな。 桑田と江嶋は多人数への指揮ができるから、『見せかけ』に置くべきか」 松野の問いに東尾は答えて、松野がうなずくのを見て付け足す。 「いざとなれば『見せかけ』はおれたちが指揮すればいい。 ここを空にしなくては奴らの目を欺けないから、桑田と江嶋は本部防衛として付近に伏せさせてもいいかな」 「なるほど、わかった。 また話し合いしないとな、もう行っていいぞ」 松野は東尾を退出させた。
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