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「はいっ!質問です!」
自己紹介をすませたらしい男子生徒の一人が高々と右手を挙げる
「あ、は、はいっ。なんですか?」
登校するなり、質問がいきなり自分に向けられて驚く瑞希。
その小動物的な仕草が可愛い
やべぇ…物凄く抱き締めたくなった
「なんでここにいるんですか?」
聞きようによっては物凄く失礼な質問が浴びせられる
でも、これはこのクラスに居る全員の疑問みたいだ
瑞希の可憐な容姿は人目を引くし、成績も凄いからな
入学して最初のテストで学年二位を記録し、その後も上位一桁以内に常に名前を残しているくらいだし
そんな瑞希が最下層に位置するFクラスに居るわけがない
学年中の誰もが、瑞希はAクラスに居ると思っているだろう
「そ、その……」
緊張した面持ちで身体を硬くしながら瑞希が口を開く
「振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして………」
その言葉を聴き、クラスの人々は『ああ、なるほど』と頷いた
試験途中での退席は0点扱いとなる。
瑞希は昨年度に行われた振り分け試験を最後まで受けることができず、結果としてFクラスに振り分けられてしまったと言うワケだ
そんな瑞希の言い分を聞き、クラスの中でもちらほらと言い訳の声が上がる
『そう言えば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに』
『ああ。化学だろ?アレは難しかったな』
『俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力を出し切れなくて』
『黙れ一人っ子』
『前の晩、彼女が寝かせてくれなくて』
『今年一番の大嘘をありがとう』
これは………想像以上にバカだらけだ
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