第1章

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僕の部屋に移ると、樹は僕にキスをした。 キスは慣れてきたつもりだけど、ドキドキが止まらない。 甘いくちづけに、頭の芯がとろけそうになる。 「巴…」 僕を呼ぶ樹の声が、少し掠れていて、凄くセクシーだ。 樹はゆっくり、愛しむように、僕の身体のあちこちにキスをしていく。 頭が働かない…。 「樹っ…」 思わず嘆願した。 「巴、本当に大丈夫ですか?」 樹は僕を愛撫する手を止めて、僕の顔を見つめながら言った。 「ここまで来て聞くなよ」 そうは言ったものの、いざとなると夏の事件の時の感覚が蘇って、身体が硬直する。 「巴、目を開けて、僕を見て下さい」 ぎゅっと瞑っていた目を開けると、樹の整った顔がすぐそこにあった。
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