第1章

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「ここにいるのは誰ですか?」 「…樹」 樹は僕の髪を撫でて、微笑む。 その顔が綺麗で、見惚れてしまった。 「そう、僕です。でもね、怖い気持ちも分かるんですよ。…どうしたものでしょう」 …そうだった。 樹も経験者なんだ。 樹、叔父さんに無理矢理犯されて、手首を切ったんだって言ってた…。 だから、僕に気を使ってくれているのだろう。 でも…。 「樹、僕は大丈夫だよ。だから…」 樹に身体だって愛されたいっていう気持ちは、初めての時と変わらない。 「巴…また無理をさせて…すみません」 樹が申し訳なさそうに言ったので、僕は首を横に振って 「いいから早くっ…」 催促をした。
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