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…それにしても。
何をしても格好いいな、樹って。
ネクタイを締める仕草とか、ジャケットを羽織る所とか。
何をしても絵になる。
「どうしたんですか? じっと見て」
樹が僕の視線に気付いて、意地悪そうに言った。
「なんでもないよ」
「本当に?」
樹に後ろから腕を回されて、顔がかぁっと熱くなる。
「何でもないって。ただ…」
「ただ?」
「やっぱり教えない」
言い掛けたけど、言ってしまったら負けな気がしたから結局言わなかった。
格好いいって思ったって。
「えー。…まぁ、いっか」
樹は僕を背中からぎゅーっと抱き締めて離した。
「さて、僕は帰るとしましょう」
「うん」
「巴、ありがとう。それではまた明日」
樹は僕にキスをして、帰って行った。
何となく名残惜しかったけど、単さんも心配するだろうしね。
僕は、シャワーを浴びて、幸せな気分で龍司さんの帰りを待っていた。
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