第2章

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だけど、同時に僕を罪悪感が襲ったんだ。 樹はあまり口には出さないけど、僕を愛してくれているってことは凄く感じる。 もちろん、僕だって樹を愛している。 相思相愛…それはとても幸せなこと。 でも、龍司さんは約二十年も片想いをしている。今も悩んでていて…それなのに僕は幸せで、しかも、部屋で…。 何だか申し訳ない気持ちになった。 翌朝、学校に行ったら、 「おはようございます」 樹は笑顔で言ったけど、僕の気分は沈んでいた。 「巴? どうしましたか」 「ん?」 「元気がないようですが…」 「気のせいだよ。何でもない」 心配かけたくなくて、それだけ言った。 「そうですか…そうは見えませんが」 樹はとても悲しそうな顔をする。 しまったと思って、樹に声を掛けようと思ったのに、予鈴が鳴ったから叶わなかった。
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