第2章

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昼休み、樹に謝ろうと思っていた。 …また、傷付けてしまったと思ったから。 それなのに、昼休みになったら樹はもういない。 廊下で樹を見つけたから、慌てて追いかけたけど…昇降口で他の誰かと笑顔で話しているのを見て、背を向けた。 もちろん、樹にだって友達はいるし、別に僕と四六時中一緒にいる必要がないって事はわかっている。 ただ、この時僕は無性に寂しかったんだ。 樹を傷付けて、悲しい顔をさせている僕なんかより、笑顔にさせてくれる友達の方がいいんじゃないか。 なんて考えて。 樹に悲しい顔をさせてしまう自分も悔しかった。 …情緒不安定なのかもしれないけどさ。 僕はずっと、ぼんやりと外を眺めていた。
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