第2章

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結局、昼休みは樹と顔を合わせないまま、午後の授業になった。 午後は芸術選択で、美術と音楽と書道の中から1科目を選ぶのだ。 僕は美術で、樹は音楽。 だから、もちろん教室は別々。 今まで気にした事なかったけど、どうしてこんなに苦しいのだろう。 昨日、沢山の幸せをもらったばかりなのに。 どうして…? たった半日話していないだけなのに。 「水嶋、どうした? 顔色悪いぞ」 隣の席の一哉が言ったけど、 「大丈夫」 そう答えた。 ぼんやり、スケッチをしていたら、微かにピアノの音が聞こえた気がした。 樹…。 ポケットに入っている、樹の懐中時計を握り締めると、少し気持ちが落ち着いた。 そして、この苦しさはただの子供っぽいヤキモチなんだって気付いたのだった。
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