第2章

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「巴、帰りましょうか」 …そういう展開を期待していたんだけどな。 あいにく、樹は担任に用事を頼まれていた。 「手伝おうか」 声を掛けたけど、 「大丈夫ですから、先に行ってて下さい」 って言われてしまった。 仕方ないから、一人でクレセントへ向かった。 樹と一緒ならすぐなのに、一人だとやたらに道のりが長く感じる。 今まで、いかに樹と一緒にいたのかって事を痛感した。 このままクレセントに行っても、単さんも龍司さんも忙しいだろうし、手持ちぶさたなだけなので、一旦アパートに帰る事にした…んだけど…。 帰ったら、アパートの周りには人だかりが出来ていた。 それだけじゃない。 辺りには焦げたような匂いが立ち込めていて、アパートからは煙が出ていた。 …もしかして、火事? いや、もしかしなくても火事だ。 とっさに龍司さんに電話を掛けようとしたけど、龍司さんは仕事中は携帯を持ち歩かない事を思い出した。 改めて、クレセントに電話を掛ける。 「はい。クレセントです」 電話に出たのは単さんだった。
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