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「巴、帰りましょうか」
…そういう展開を期待していたんだけどな。
あいにく、樹は担任に用事を頼まれていた。
「手伝おうか」
声を掛けたけど、
「大丈夫ですから、先に行ってて下さい」
って言われてしまった。
仕方ないから、一人でクレセントへ向かった。
樹と一緒ならすぐなのに、一人だとやたらに道のりが長く感じる。
今まで、いかに樹と一緒にいたのかって事を痛感した。
このままクレセントに行っても、単さんも龍司さんも忙しいだろうし、手持ちぶさたなだけなので、一旦アパートに帰る事にした…んだけど…。
帰ったら、アパートの周りには人だかりが出来ていた。
それだけじゃない。
辺りには焦げたような匂いが立ち込めていて、アパートからは煙が出ていた。
…もしかして、火事?
いや、もしかしなくても火事だ。
とっさに龍司さんに電話を掛けようとしたけど、龍司さんは仕事中は携帯を持ち歩かない事を思い出した。
改めて、クレセントに電話を掛ける。
「はい。クレセントです」
電話に出たのは単さんだった。
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